子どもが親の言うことをきかない。これはとてもよくあるお悩みです。

言っても言ってもいうことをきかず、反発やヘリクツばかりが返ってくる。
こちらのイライラが徐々にエスカレートし、聞こえないのかとばかりに声高になり、挙句の果てに自分の怒っている声に嫌気がさす。これはとても疲れます・・・。

意識しているか否かにかかわらず、「人の行動には必ず目的がある」と言われています。
とすると、子どもは親の言うことを聞かないことで、どんな「目的」を果たしているのでしょう?

「親の言うことを素直に聞いたら果たせず、聞かなかったら果たせること、それは何だ?」まるでナゾナゾですね。

答えは、「親の気をひくこと」です。

もちろん言うことを素直に聞いて成果を出せばほめて貰えますし、そういう方法をとる子どももなかにはいます。でもそれには努力と忍耐が必要です。

より手っ取り早く、いつでも誰にでも出来る簡単な「気のひき方」、それが「反抗なのです。反抗されることで親はハタと立ち止まり、その子について考え悩みますから。たとえネガティブな形であっても、親(周りの人)に注目されることを子どもは本能的に求めているのです。何と言っても人が最も恐れていることは「無視」されることですから。

つまり反抗は「こっちを見て!」「ぼく/私はここにいるよ!」というメッセージなのです。

親にしてみれば「子どものことは心から愛しているし、いつも気にかけているし、そんなの当たり前でわかりきったことだろう
と言いたいところですが、残念ながら「子育ては以心伝心ではない」ということを、私たちは肝に銘じておかねばなりません。「愛しているよ」「見ているよ」「気にかけているよ」と常々態度で伝えないと、子どもはやっぱり不安なのです。

となると、「言うことを聞かない子」に対してまずやるべきことは?

それは、「あなたを見ているよ」「きみはここにいるんだね、わかっているよ」「私の意識の中にあなたはちゃんといるよ」ということを、相手(子ども)に伝えることです。
そのための代表的な方法は、以下の二つです。(さらに詳しい方法については、子育てコーチング講座「やる☆キッズ」で扱います^^)

<Ⅰ.子どもの存在を認める簡単な方法>

  1. 触れる(スキンシップ):抱っこ、おんぶ、抱きしめ、膝に座らせる、など。大きなお子さんなら頭をなでる、肩や背中をさする、握手、など。耳掃除をしてあげたり、女の子なら髪を梳いたり結ってあげたりするのもいいですね。
  2. 声かけ:名前をよぶ、あいさつをする、意識して簡単な声かけをする。(嬉しいね、元気だね、眠そうだね、など。別段ほめなくても良い。)

これらを十分やり続けることで、子どもは存在を認められていると感じ、安心感を抱きます。すでに自分が注目されている手応えがあるので「反抗=親の気をひく」必要がなくなります。そうしてようやく親の言葉が「耳に入る」ようになるわけです。

その「親の言葉」も、こちらの伝え方によっては(特に思春期あたりの子どもには)すんなり届きません。「ホンマにそうなん?」「そんなことないやろ」といった風に、疑ったり否定されたりすることが多いです。(実はこの“引っ掛かり”は、自分なりの価値観を構築し大人へと成長するための、大切なステップなのです。)
ではこちらの言い分も届き、相手の考えも尊重できる、そんな伝え方を次にご紹介しましょう。

<Ⅱ.伝え方>

  1. I(アイ)メッセージを使う:「お母さんはこうしたら良いと思うよ。なぜなら~だから。」「お父さんはこうなって欲しいと思う。そのわけは~だから。」「こうしてくれたら私は嬉しい」と「一人称(私)」を主語にした「I(アイ)メッセージ」を使います。
  2. 相手の考えを引き出す:1のあと、「あなたはどう思う?」「次はキミの考えを聞かせて」と子ども自身の頭を使って考える事を促します。(子どもの返答を「くだらない」「間違っている」などと評価・批判しないよう注意)
  3. ゴールをイメージする:親の提案と子どもの考え、それぞれを実行した場合の着地点を一緒にイメージする。(親の提案へと誘導しないよう注意)
  4. 本人に決めさせる:出てきた案の中から最終的に「自分はどうしたいのか」を選ぶことを促します。ここで親の提案が無視されたとしても、子どもの選択を尊重し、チャレンジを見守る覚悟が必要です。

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子どもの問題行動の多くが承認欲求に起因するとも言われています。上記<伝え方>はともかく、<存在を認める方法>はとても大切です。存在承認は心(やる気)のエネルギー源ですから、どんどん継続投入するのがいいでしょう。甘やかしと違ってやり過ぎて悪い事はありません。

これは特に気になる様子を見せないお子さんでも同じです。「良い子でいること」でほめてもらおう、認めてもらおうと頑張っている場合がありますから。(例:頑張って良い子にする→手のかからない良い子だと認識され、親は安心する→親の意識が他へ向けられる(幼い兄弟など)→もっと頑張らないといけない…というサイクルが続く)

勉強する子どもも、友達関係で悩む子どもも、学校にいる子どもも、家でのんびりする子どもも、全部つながった一人格です。体のエネルギー源がバランスのとれた食事であるように、心の栄養はこの存在承認であり、これらが十分満たされることで、心身のコンディションが整い、結果、望ましいパフォーマンスを発揮するのです。

いかがですか。まずはご自身が普段お子さんにどのような接し方・声かけをしているか、客観的に観察することから始めてみるのもいいかもしれません。もしも変化を望むなら、行動を変えるのが一番です。