目次

1.今月のことば

2.公文式ってなに!

3.私が公文式に魅せられた理由

4.大学受験を終えて


今月のことば

「後悔」はしない。でも「反省」はしっかりする。

似ているようで全然ちがう。「後悔」は、過去の失敗にとらわれること。「反省」は、失敗を未来にいかすこと。
※監修 高濱正伸「ルールブック よのなか」より

公文式ってなに!

私達が指導者になる時、創始者公文公の色んな考え方を学ぶために“公文式の特長”と言う公文先生が主張された言葉を熟読しその考えに基づいた教室を展開することを義務付けられました。

私は、数学一教科の時代に指導者になったので、数学に関する言葉を今もしっかり覚えています。
しかし、昨日まで、唯のおばさんだった身にすれば、その文を読まされた時“本当に?”と、直ぐには理解できないような内容も沢山有りました。

それらを、疑いつつ年月を重ねてきた私、そしてそれを、自分の子どもで、証明しようと、実践してきた日々だったと、今振り返っておもいます。

  1. 公文式は家庭学習、学校となるべく重複させない、後で安心できる学力をつけて、いく事これが一番大切である。
  2. 高校生の90%以上が数学の授業中は黒板の式を写すだけ。考えるのは3分間も無い。これは代数計算力の不足によるもの、学年を越える位の代数計算力を身に付けて置くことが大切である。
  3. 高校であまり勉強しなくても、一流大学に入れるよう、そのため、公文式数学では代数計算を重視し、図形・文章題を重視しない。旧制高校文科の生徒は幾何(図形)は出来たが代数計算が弱かった。
  4. 答案を速く正確に書けること、これが入試に最も強い。
    中学入試は小5以前に受験塾に行かない方が良い。それまでは読書と中高生の内容を学習させることが大切、高校入試は公文式だけでよい。2,3学年以上進んでいれば、他の教科は自習できる。
    小学校入試の受験準備より幼児で国語の教材を高く高くしておくことが有効である。分別がつき、思慮が優れてくるからである。

まだまだ沢山有りましたが、兎に角先ず私の心に引っ掛かったのが上記の特長でした。それの本意を求めて、私は自分の子どもを、いうなら“モルモット”にして、子育てをしてきました。

今では“そう!そう!”と言っていますが、そこへ行きつくまで、公文を疑い、悩みの日々でした。

私が公文式に魅せられた理由

先月号では前述の1について書きました。
今回は3について書いてみます。

私が公文の指導者になった時、こんな足し算や引き算をさせて採点している自分がある時は情けなく、もっと塾で教えていた、高度な文章題や図形を教えたいと思い続けていました。ですから、ずっと“こんな計算ばかりしていて、本当に数学の力がつくの?”と、疑心暗鬼の日々でした。ですから、長女には、公文はさせましたが、学年よりずっと上をさせることなく、せいぜい1年上か2年上の教材を、させて、春夏冬の長期の休みには、所謂文章題と図形をさせ続けていました。ですから、小学校の時は、とてもよく出来た、子どもでした。

ところが中学校に進学し高校に進学していくにつれて、成績は下降線を見せ始めました。そこで初めて、私は公文先生の言われることが、少し理解できるようになりました。そんな悩みを抱えている時こんな図(下記の図)を目にしたのです。

小学校 中学校 高校
代数計算 40% 60% 90%
文章題 30% 10% 5%
図形 30% 30%

(1)代数計算は、小、中、高に進むにつれて、教科書でしめる割合が増え、高校の教科書では数学の問題の主流となる。

(2)文章題、図形は、小、中、高へ進むにつれて、教科書でしめる割合はへり、高校の教科書では、ほとんど問題にならないほど少ない。

そこで私は、決して文章題と図形を軽視しないけれど、気にすることを、辞めました。そして只管、次女、長男には、公文の進度をあげていく事に切り替えました。その甲斐あって、中学の時は、二人とも図形は、クラスでもかなり悪く、私をして、少なからずイライラさせましたが、高校では、数学は得意科目となり、二人とも、理系に、進みました。唯図形文章題が出来ないのを、捨てておいたわけではなく、文章題ができるようになるための、根本を考え気をつけて行きました。

どんな事に気を付けて行ったのかは、次号お話しします。兎に角それらが出来ない事を、責めてマイナスの言葉をかける事だけは、潜在意識に刷り込むことになるので、タブーとしたことは今でも、覚えています。

大学受験を終えて

大阪府立大学生命環境科学域理学類 Mさん

私は公文に5歳から中学2年の冬まで10年間通いました。ほとんどの人は、公文を辞めた後、塾に入ると思います。私も清水先生に、中2の2月から塾を勧められました。しかし、私は、塾には入りませんでした。

今から、塾に入らずにどのように勉強していったかについて話そうと思います。

私が勉強のモチベーションを上げていった方法は、ライバルを見つけて勝負したことが1つとしてあります。特に自分より少し賢い、塾に通っていた友達をロックオンしていました。そして、塾に行っていない私が塾生よりいい点数を取った時、私自身の勉強方法が間違っていなかったんだという自信につなげていきました。

私は勝負事がとても好きな燃えるタイプです。ぜひ皆さんも身近な人にライバルを見つけて、勝負していって欲しいと思います。相手も負けず嫌いだったら互いに影響しあえるので、なおさら、効果大です。

また、私が定期試験や受験を経験して感じたことを話します。1つとても感じた事は、難しい問題でも、落ち着いて、自分が今まで解いてきた問題を思い出し、解法をいろいろ考えてみると、案外解ける、ということです。初めて見る形式の問題が出てきてしまったとき、焦ってしまうことが、この先必ずあると思います。しかしそういった問題は、基礎の土台があれば、誰でも解くことができる問題が圧倒的に多かったです。俗にいう盤石な基礎力は応用力に繋がるということです。

公文は私が思うに、かなり部厚い土台だと思います。中学2年の冬までに公文という圧倒的なアドバンテージを得ることができたら、この先かなり楽になります。

私は数学をMまでやったのですが、北野高校を上位で合格した人と数学では同等の力を持っていたと自信を持って言えます。今公文に通っている人は、信じて頑張って、先ずは、中2、12月末少なくとも、L教材とかM教材にいけば、塾なしでも、闘えます。

最後に私から伝えたいことは、自分に自信を持って欲しいということです。

僕ならできる、私ならやれる、そう思うことができたら無敵です。解けない問題が出てきても、私で解けないんだったら、他の人には絶対無理だな、くらいに思ってやりましょう。こういう自分を信じる気持ちは、長い公文生活の中で、壁にぶつかり、それを乗り越えるということの、繰り返しで身に付いたのではないかと、今、思います。

私は公文生全員を応援しています。困った時声をかけて下さい。
公文の、しんどさ、辛さ、そして、やってよかった事等、共感して、アドバイスできると思います。頑張って下さい。

M君は 年中の春、目をくりくりした男の子という印象での公文入会でした。
この10年の公文生活のうちお父様の転勤で2年あまりエレガント教室を離れたものの転勤地でも公文を続けての再会をもった子でした。彼は 三人姉弟(姉、本人、弟)
のまん中の子、お姉さんも今は社会人ですが学生時代 当教室で採点アルバイトをしてくれたのです。翔君は私の教室恒例の中2の3学期、1年間の塾通いを勧めた子だったのですが、塾へ行くことなく高校入試を果たし、大学入試もどこの塾、予備校へも行かず自力で突破した子です。お母様との懇談の度に私はM君家の以下のような方針を感じていました。

  1. 本人が、どうしても行くというなら塾にやるが、そうでないなら本人に任せる。
  2. ”高校は楽しい所へ”をモットーに一つでも高い偏差値の高校へ入れとはいわない。
  3. 勉強とは自分でするもの”18才で人生を選べる人”になるためには基礎力育成に力を入れるべし。

1について、一般的には父母が先まわりして塾に入れる事が多いです。
その場合、初めは成績向上するものの後は下降線というケースがあります。

2については 本人は北野で下位になる位なら(下位だと楽しく高校生活を送れないから)一つでも二つでも下の高校でTOPになり楽しい高校生活を送りたいとの考え、そして又TOPになると 先生との対話もチャンスも増え、先生による進路応援のチャンスがあるのです。

そんな訳で選んだ北千里高校、長い時間かけての公文でつけた、盤石な基礎の上に、見事自分で頑張り続けて公立大学へ突破したのです。そして、”自分の心に育っている自信”をよりどころにし、何よりも”自分の勉強法”に注目しライバルを見つけ、それによって勉強法の確認をし続けたようです。

こんな風に誰にも頼らず頑張った力は、きっと社会人になった時、大きく芽を吹き大木に育つだろうと私は思います。私達親は、子どもの“今”ばかりに注目せず社会人として、歩み始めた時の我が子をイメージして、対応していく事の大切さを、彼を通して、教えられた気がします。

この先、彼が手に入れた、学習の仕方を、生徒の皆さんが吸収してくれたら、とてもいい出会いに成ると思います。