「うちの子、うそばかりつくんです。どうしたら良いですか?」とご相談をいただいたとき、私は「うそには騙されましょう」
とお答えしています。(ちなみにアドラー心理学の子育て本にも同じような事が書いてありました。)
まず大前提として「うそをつくのは良くないことだ」という価値観は、普段の生活の中で(例えばイソップ物語や日本昔話などを通じて)しっかりと伝えておく必要があります。
それらをよく理解した子どもが「うそは良くない」と重々承知の上で、敢えてうそをつく。その時、そこにはなにがしかの「理由」があると捉えます。その理由は、以下の二つのどちらかに当てはまる場合が多いです。
①窮地に追い込まれぬよう、その場しのぎの保身のためにうそをつく。
②お母さん(に代表される周囲の人)の気をひく為にうそをつく(人が本能的に最も恐れるのは“無視”なので、たとえネガティブな形であれ、自分が注目される行動をとろうとする)。
①のような「自分に都合の良いうそ」をつき始めるのはだいたい小学3年生位からです。②は本能的なものですから、もう少し早いこともあります。ここで興味深いのは②の場合、本人も「親の注目を集めるため」という自覚なく、うそをついているということです。
実は私自身、年長~小1の頃、うそばかりついてしょっちゅう親に叱られていた時期がありました。その時の、自分の意志とは無関係に口先が勝手にツラツラとうそを並べ始める不思議な感覚、今でもはっきり覚えています。後でバレて怒られるのがわかっていながら、「あらら、私またうそ言ってる」と思いながら、止められなかったのです。不思議ですよね。それは6歳下に弟が生まれた時期とちょうど重なるので、ほぼ間違いなく②型のうそだったと思われます(笑)。
またもっと低年齢の場合、「こうだったらいいのになぁ」という夢と現(うつつ)の境界が曖昧になってつくうそもあります。例えばディズニーランドに行きたい行きたいと思うあまりに「ディズニーランドに行く/行った」と口走ったり、ひとのオモチャを自分のだと言ってみたりと、作り話をさも本当のことのように話す時などがそうです。このタイプのうそは想像力の豊かさが余って出た一過性のものなので、大きく捉える必要はないかと思います。私なら、やんわり訂正する位で済ませると思います。
では①と②のうそ、その後の対応について考えてみましょう。
まず①の場合。「その子にうそをつかせている自分」を見直し、子どもへの接し方を見直すチャンスだと捉えます。子どもの言い分に耳を傾け共感することが出来ているかな?一方的な押しつけで物事を推し進めようとしていないかな?話の通じない大人になっていないかな?と、親子関係を振り返る良い機会ではないでしょうか。
②の場合。ウソに限らず子どものいわゆる“問題行動”の多くは「承認欲求(僕/私はここにいるよ!こっちを見て!という気持ち)」からきているので、声かけ・スキンシップの増量キャンペーンを実施し「私はあなたを見ているよ!私の意識の中にあなたはいるよ!」と盛大に伝えます(笑)。
いずれにせよ「うそ」という症状が出た時、単にそれを暴き・正すことに注力するのではなく、何がわが子にうそをつかせているのか、を考える姿勢が大切だと考えます。
いかがでしょう?