コーチングにおける最も大切な考え方の一つ。
「答えは本人の中にある」
コーチはいつもこの信念に則って相手と関わっていきます。
これは子育てコーチングにおいても同様です。たとえ相手が幼い子どもであっても、「答えは本人の中にある」「相手は無限の可能性をもった存在」「100%相手の味方である」とコーチは信じて接しています。
だからコーチたる親は、子どもが何か質問してきた際、本人の中にある答えを探すべく「質問返し」をします。
【例】
「ママ、これどこに置いといたら良い?」⇒「あなたはどこがいいと思う?」
「次、なにをしたら良い?」⇒「何したら良いと思う?」
「なんでこうなるの?」⇒「なんでかなぁ?○○ちゃんはどう思う?」
たとえ答えが簡単・明白だと感じても、まずいったん「自分の頭を使って考える」ことを促します。そしてどんな答えが出てきても馬鹿にしたり否定したりせず(せっかく考えたのに馬鹿にされたり否定されたりしたら、次から答える気がしませんよね)、「なるほどー、あなたはそう思うんだね/考えたんだね」と“認め”ます。そのあとで、「じゃあそれでやってみたら」とか「お母さんはこう思うよ/お母さんもそう思うよ」とか「じゃあ一緒に調べてみようか」といった風に続けます。
ひとの頭を使って事を運ぶのではなく、①自分の頭で考える、②考えを言語化して相手にわかるように伝える(このアウトプット作業は子どもにとって結構大変です。言語能力が伸びます。)、そして③他責ではなく自責で(上手くいっても失敗しても自分のせい。言い逃れできない。責任感が育つ。)行動する。この一連の流れはとても負荷の大きい仕事なのです。
これは私自身、初めてマイコーチ(個人コーチ)をつけたときに痛感したことですが、自分の問いがことごとく投げ返される「あきちゃんはどう思うの?」という「質問返し」に答えるのは、本当に“しんどい”作業でした。ときに意地悪とさえ感じる程、私のコーチは質問を返してきたので、こちらも意地になって自分なりの答えを捻くり出したものですが、その過程で沢山の大切なことに気づきました。
- 自分が今までの人生で、いかに答えを「自分の外 に求め続けてきていたか
- 自分の中にちゃんと答えはある
- 正解は一つとは限らない
- 人と違っても良い/人と違う事は怖い事、悪い事ではない
などなど、これらの気づきは私の価値観に大きな影響を与えました。
ここでもう一つエピソードのご紹介です。子育てコーチング講座受講中のあるお母さんが中学一年の娘さんにこの「質問返し」を使ってみたところ、しばらく経ってお子さんが言ったそうです。「いちいち考えるの面倒くさいから、お母さん前みたいに言ってよ!」と…。いかがですか?この方、いかに自分が今まで指示命令型子育てをしてきたかをつきつけられ、ショックだったと仰っていました。
自分の意見を持ちそれを発信する能力は、社会人として問われるとても重要な資質です。机上の勉強だけでは培えない、そして一朝一夕には身に付かないこの能力を育むため、日々のコミュニケーションを見つめ直してみて頂ければと思います。
自分が考えている事・感じている事をアウトプットする作業は同時に、自己受容・自己肯定といった「自信」を育む作業でもあります。自己受容ができれば他者にも寛容になれます。こちらもまた、大切な「生きる力」ですので、一石二鳥になりますね。
さて、これを読まれたあなたは、「どう思いますか?」