先日、ある女の子に会いました。久々の再会だったせいもあり嬉しそうにたくさん話をしてくれたのですが、その様子が一生懸命でとても可愛らしかったです。話したいことがいっぱいあって気持ちが前のめりになるあまり、もどかしそうに言葉を選んで話す姿が印象的でした。私はそんな彼女を微笑ましく見守りながら、コーチングスキルの「聴く」を学んだ当時を思い出しました。
コーチングの「聴く」は、相手が気持ちよく沢山話せるよう流れをさえぎらず、質問を挟むのも最小限にして行います。あなたのメッセージはちゃんと私に届いていますよ、と相手に伝わるような、そんな聴き方をします。また話の内容がどんなものであってもそれを評価・批判せず受け止めます(評価・批判をせず受け止める=相手の言うことに同調・賛同することではありません)。
「聴く」を学んだ当時、私はそれまでいかに我が子の話をちゃんときけていなかったかを痛感したものです。自分の興味・好奇心がわいたら躊躇うことなく質問したり、これが親の役目とばかりに助言をするため口を挟んだり、はたまた他のことをしながらきいてみたり。ともすると今でもそのようなきき方をしてしまいがちですが、より相手主体に耳を傾けようと思うなら、やはりコーチングの聴き方が理想的です。
「話すこと=自分の考えを言語化すること」ですから、子どもが自由に考えアウトプットするメリットとしておおまかに次のようなものが考えられるでしょう。
・考えを整理し気づきを得ることができる
・自己理解、自己受容につながる
・相手にわかるように考えを述べる論理構築の練習ができる
・気持ちを吐き出すことによるストレス軽減
・信頼できる聴き手の存在により情緒が安定する
ただ子ども相手に「聴く」を使うと、わたしたちはこんな場面に遭遇することがあります。
「子どもは好きなことを沢山話して楽しそうだけど、私はこの話、正直どうでもよいから聴いてて全然面白くないんだよねぇ。興味あるふりをして聴くのも疲れるわー」
・・・そうですね^^;
「今日、学校でね」といったたぐいの話なら大歓迎なのですが、妖怪やモンスターの話を長々と熱弁されても…というのは正直なところでしょう^^
そんな時は、話の内容以上に相手の表情・身振り手振り・心境(この子は今どんな気持ちで話しているのだろう)など、相手の全身から伝わってくるメッセージに耳を傾けるチャンスだと捉えてみてください。そういうつもりで観察していると、子どもが目をキラキラさせていたり、口角泡とばしてしゃべっていたり、おもしろいジェスチャーをしていたりと新たな発見がありますし、話している子どものウキウキした心情が伝わってくるのを楽しむことが出来るようになります。
このように、コーチングの「聴く」は、言葉のみならず、相手の表情や身振り、声のトーンなど全身から発せられるもの、そして言葉の向こう側になにがあるのか、というところまでアンテナを立て、相手の心に寄り添って行います。「聴く」の「聴」の漢字を分解して、「“耳と十四の心”で聴くのがコーチングの聴く」とか「“耳+目と心”で聴くのがコーチングの聴く」と言われたりする由縁がここなのですね。
「今どんな気持ちで話しているのかな」
「何がこの子にこう言わせているのだろう」
そんな視点をもって、一度お子さんの話を聴いてみてはいかがでしょう。
もしかしたら、いつもと違う何かが見えてくるかもしれませんね。