コーチングを正しく機能させるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。「具体的な声のかけ方・接し方」以前に、大切なことがあるのです。

大切なこと<Ⅰ> 親子間に「確固たる信頼関係」があるか。
「どう思ってるの?」と問われて正直に話したら、「なに言ってんの」「それは違うやろ」もしくは後で蒸し返して「あんたあの時こう言ったやんなぁ(怒)」・・・。そんな相手に本心・本音を吐露するなんて、コワイコワイ^^;。 ということで、何を言っても安心安全な存在として子どもに認識されているかどうか、これが一つ目の課題です。

大切なこと<Ⅱ> 親が子どものことを、どんな存在として捉えているか。
親がわが子を「可能性に満ちたすばらしい存在」として捉えているか、「不完全極まりない未熟な存在」として認識しているか。こういった事は想像以上に相手に伝わるものです。言葉の端々に滲み出ていたり、ふとした表情や素振りから、はたまた全身から発するオーラから、受け取る側でさえ無意識下でキャッチする程の微細なレベルで、しかしながら確実に、伝わっているものです。なので親としてやるべきは、わが子のよい所・好ましいところに注目し、ポジティブなイメージでわが子をみるよう日々心がけることです。

大切なこと<Ⅲ> 親(コーチ)自身が、人間力の高い存在であること、もしくはそうなろうと日々努力をしていること。
コーチされる側の立場からすると、コーチがグダグダのだらしない人だったり、自己否定に満ちた卑屈な思想の持ち主だと、嫌ですよねぇ^^;。 そんな人になにか言われたとしても説得力ゼロ。「あなたに言われてもねぇ・・・」となります^^;。誰だって自分を励まし支えてくれる存在には、立派もしくはそうなろうと日々努力している人であって欲しいですよね。

以上3つが、コーチングコミュニケーションの大前提として求められる事柄です。
実際のところ、これらを完全にクリアするのは難しいことかもしれません。しかし少しでもそうあろうと努力する事は可能です。上手くいってるなと感じる時、あぁしまったと反省する時、色々あって大丈夫。その頑張り自体が<Ⅲ>に繋がってもいるのです。

さて、ここでもう少し<Ⅲ>について考えてみましょう。

私たち親は、わが子にこうなって欲しい、ああなって欲しいと夢を託しながら子育てをしています。

その中で、例えば「わが子には楽しい人生を送って欲しい」と言いながら・・・
親①親が不平不満タラタラで日々をやり過ごす背中を見せる。
親②毎日楽しそうに暮らしている姿を見せる。

さてどちらの親が、「楽しい人生」実現へのハードルをより低く、子どもに見せることができるでしょうか?

また「困難にぶち当たっても、忍耐強く乗り越えられる人になって欲しい」と言いながら子どもが思い通りに動かない時に・・・
親①怒鳴ったり金切り声をあげたりして脅し、ときには暴力で、服従させる。
親②待つ・話し合うなど様々な手段を使いながら辛抱強く解決策を探す姿を見せる。

それぞれの親に育てられた子どもは、いざ自分が思い通りにならないことに直面したとき、どうやってそれをクリアしようとするでしょうか?

いずれも答は明白ですね。

つまり私たちは自覚しているかどうかに関わらず、コーチング云々にも関わらず、そして良くも悪くも、常に子どものロールモデル(模範)として生きているのです。ゆえに子どもに「こんな大人になって欲しい」「こんな風に人生を歩んで欲しい」という思いがあるのであれば、まず自分がそのお手本になる、もしくはなろうとしている姿を見せる必要があるのではないでしょうか。そしてこれがまた、まわりまわって前述の「大切なこと<Ⅲ>」に繋がっているのではないか、と私は考えるのです。

さてさて、あなたという人間は、子どもの目にどんな風に映っていると思いますか?